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佐藤佐吉大演劇祭2018in北区 公式パンフレット

閉幕のご挨拶

実行委員長の北川大輔です。
改めまして無事に40日間、すべての演目を終えることができました。
ひとえにこの演劇祭に関わっていただいた皆様のおかげです。本当にありがとうございました。

終わってしばらく経って、この演劇祭が何だったのか、なんでこのようなフレームにしたのかについて考える日々です。今回、特に「地域」という部分をクローズアップした演劇祭になったわけですが、何故だったのか、やっとちょっと追いついてきたのでそれを書いて終幕のご挨拶とさせてください。

芸術監督に着任した2014年、王子小劇場は地域との接点をほぼ持たない劇場でした。
年2回の落語会を地元の商店街とタイアップし、中高生のサマースクールを北区在住・通学を優先採用するくらいで、これと言って地域との協働事業のようなものはありませんでした。
コレは別に前任者を責めるわけでなく、必要がなかったのだと思います。東京の小劇場の市場はそれなりに確保されており、何かを大きく変える必要がなかったのです。
着任してすぐの演劇祭を、初めて地域の複数会場で行いました。北区文化振興財団さんに会場をご提供いただき、当時近くにあった民間劇場を一ヶ月貸してもらいました。結果、演劇祭としてはいつもどおりでした。極端に何かが悪かったこともなく、かと言って革新的に新しい何かを生み出すこともありませんでした。いや、正しく言えば、強烈に悔しさだけが残ったのです。今思えば、どこかに「地域のためにこんないい催し物を企画してやったのに」という傲慢があったのだと思います。当たり前ですがその当時完全にエイリアンだった我々「エンゲキ」が、地元の人達の間に入っていくことなど当然のように無理でした。ここが今回の演劇祭の出発点でした。
それから4年間、なるべく地元の小さな集まりにも積極的に顔をだすようにしました。
クリスマスにはサンタクロースになり、交通安全運動で旗を振り、ちょっとした地元の有志の集まりで劇場職員総出で寸劇をやったりしました。佐々木くんに全身タイツを履いてもらったり、池亀くんに消防訓練で倒れてもらったり。私はマツコ・デラックスの仮装を3回やりました。
そうやって少しずつ、地域の中に入っていくことを許してもらいました。劇場の人、という顔が向こうもわかってきたのだと思います。と同時に、この地域が今どのような問題を抱えているかも見えてきました。北区は高齢者率が23区の中で最も高く、高度成長期に立ったマンモス団地を複数抱え、そこが一気に高齢化を迎えていました。と同時に、そのような課題解決に対してのベンチャー志向、なにか新しい取り組みに対しての協力態勢は非常に見えやすいところにあったのもまた事実でした。そして幸いなことに、弊社が創業以来70年あまりに渡って培ってきた「信頼」がありました。
ちょうどセゾン文化財団の創客のためのワーキンググループに参加させていただいたこともあって、私の中での一つ答えが見えたのだと思います。
演劇祭の初めてのミーティングを企画したとき、今回は「地域拡大」を全面に出した展開にすることに決めました。

今後、劇場は自分たちのテリトリーだけで生きていくことがどんどん難しくなるのではないか、という思いがあります。色んな指標がそう指し示しているのもありますが、これだけ仮想空間での生活が完結し得る社会にあって、演劇であること、生であることの価値がどこにあるのかを考えたときに、軽やかに越境していくことを是としないでどうするのだ、という問題意識がその思いの理由です。
今回期せずして、野外劇や青空パフォーマンスと言った、劇場の壁を超えること、に挑戦できました。
そしてその先にあった人・地域との緩やかな結びつきを作り出すことに、牛歩の歩みではありますが前進が見られたと思っています。
今後、池亀新体制になってどのような展開を見せるのか、全然予想もついていませんが、この演劇祭が常にその外側に向かった力、境目を超えていく力を持ち続けるものであることをひっそりと祈っています。

最後になりましたが、アカデミー賞のスピーチみたいなことやります。
お越しいただいたお客様、本当にありがとうございました。あなたあっての演劇祭でした。
佐藤電機の行雄社長、孝治取締役、この無謀な挑戦への許可をよくお与えいただきました。孝治さん、復活してよかった。
ご協力・ご協賛いただいた団体の皆様、皆様のご支援を今後に引き継がせていただけたと思っております。
共催いただいた北区文化振興財団さん、特に勝手に僕は戦友だと思っている財団の武藤さん、あなたあっての無茶がたくさんありました。また是非無茶をさせていただけますと。
ボランティア・インターンのみなさん、フィードバックまでありがとうございました。皆さんなしには本当に成り立たないものでした。引き続き劇場に遊びに来てくださいね。
素晴らしい作品を上演いただいた参加団体の皆さま、皆様をお呼びできたこと、本当に嬉しかったです。
どうぞこの機会を上手に使って、より一層の飛躍をお祈りしております。
最後に。足掛け1年半に渡ってこの演劇祭を一緒に作ってくれたコアスタッフの皆。
私の一番の自慢は、みなさんとこの仕事ができたことです。本当にありがとう。

というわけで、次の佐藤佐吉演劇祭にご期待下さい。私も一観客として楽しみたいと思います。

佐藤佐吉演劇祭実行委員会 実行委員長 北川大輔

参加団体

花まる学習会王子小劇場
〒114-0002 東京都北区王子1-14-4 地下1F / TEL・FAX: 03-3911-8259
ロビー直通番号: 03-3911-8142(公演期間中のみ)

王子駅より徒歩5分。 JR京浜東北線は「北口」、東京メトロ南北線は「4番出口」から北本通りを直進。
「鑑定倶楽部」というお店の地下です。
王子スタジオ1
〒114-0002 東京都北区王子2-30-5
北とぴあ・さくらホール
〒114-8503 東京都北区王子1-11-1 2階 
北とぴあ・つつじホール
〒114-8503 東京都北区王子1-11-1 3階 
北とぴあ・カナリアホール
〒114-8503 東京都北区王子1-11-1 14階 
北とぴあ・ペガサスホール
〒114-8503 東京都北区王子1-11-1 15階 
飛鳥山野外舞台(飛鳥山公園内)
〒114-0002 東京都北区王子1-1-3
サンスクエア広場
〒114-0002 東京都北区王子1-4-1
BASEMENT MONSTAR
〒114-0002 東京都北区王子1-18-5 アークホテルビルB1
ココキタ
〒114-0003 東京都北区豊島5−3−13